エステサロン等、医師免許を有しない者による「HIFU 施術」は違法です

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今回の決定事項

消費者安全調査委員会による調査報告書「消費者安全法第 23 条第1項の規に基づく事故等原因調査報告書 エステサロン等での HIFU(ハイフ)による事故(令和5年3月 29 日)」において、医師免許を有しない者が高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound。以下「HIFU」という。)を用いて行った、皮下組織に熱作用を加える施術が原因となって急性白内障や神経麻痺等の身体に被害を受けたという事例が相当数ある旨が報告されていることから、以下のことが決定されました。

  1. HIFU 施術に対する医師法の適用
    用いる機器が医療用であるか否かを問わず、HIFU を人体に照射し、細胞に熱凝固(熱傷、急性白内障、神経障害等の合併症のみならず、HIFU 施術が目的とする顔・体の引き締めやシワ改善等も含む。)を起こさせ得る行為(以下「本行為」という。)は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第 17条に違反すること。
  2. 実施場所について
    医師による本行為は、医療法(昭和 23 年法律第 205 号)第1条の2第2項に規定する医療提供施設において行うこと。
  3. 違反行為に対する指導等
    違反行為に関する情報に接した際には、実態を調査した上、行為の速やかな停止を勧告する等必要な指導を行うほか、指導を行っても改善がみられないなど、悪質な場合においては、刑事訴訟法第 239 条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ、警察と適切な連携を図られたいこと。

この通り、医師が医療提供施設にて行うHIFU施術以外は全て医師法に違反するということです。

皆さんの周りのエステサロンやセルフエステで、まだHIFU施術がメニューに入っているところはありませんか?
美容施術は自己責任で行うものですので、正しい情報を得て、自分の身を守るのも大切なことです。

最近よく聞く「HIFU施術」ってなに?

ここ数年、SNSの発展などにより美容施術がより身近に感じられるようになってきました。
実際に施術を行った人の実体験や感想を簡単に見ることができるため、その効果に興味が湧きやってみたくなる人も多いでしょう。

では実際に「HIFU施術」とはどういうものなのでしょうか。

HIFUは、High Intensity Focused Ultrasound(⾼密度焦点式超⾳波)の略で、集束超⾳波の熱エネルギーにより体内の組織を⾼温に加熱するものです。本来は前⽴腺がん治療などに⽤いられてきました。美容医療ではその治療の技術を転⽤し、超音波を当てることでリフトアップが望める施術として人気があります。

肌の深部組織にダメージを与え、その創傷治癒過程にコラーゲンやエラスチンが発生することでリフトアップやハリを得ることができます。

頻度は医師の診察を受けて、3ヶ月〜半年に1回程度とされています。

過去の事故件数

エステサロン(セルフエステ含む)でのHIFU事故情報登録件数は年々増加し、2020年で11件、2021年は26件、2022年は29件となっています。

出典:消費者庁ホームページ
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_022/assets/csic_cms101_230329_02.pdf

施術場所別に傷病内容ごとの事故件数を表した表を見てみると、傷病の程度が1か⽉以上の事故の割合は「神経・感覚の障害」が 15 件中8件(53.3%)と最も⾼いことがわかります。

顔の施術で、⻑期間の⿇痺や視⼒障害が発⽣したり、跡が残ってしまい精神的ショックを受けてしまいます。

出典:消費者庁ホームページ
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_022/assets/csic_cms101_230329_02.pdf

消費者庁の実態調査で分かったこと

消費者庁の実態調査では以下のことが判明しました。

  • 機器の実態
    • エステサロン、セルフエステ及び美容クリニックで使⽤されている HIFU 機器の間で、照射能⼒に差は確認できなかった
    • エステサロン等で使⽤する機器に照射出⼒の⾼い機器があった。等
  • 施術の実態
    • 施術者に対する機器や施術の教育が⼗分ではない
    • 施術の際の利⽤者への説明が⼗分ではない
    • 利⽤者が HIFU 施術のリスクを認識していない。等
  • 使用機器物流の実態
    • 美容クリニックでは、輸⼊代⾏業者を通して未承認の医療機器として、医師が個⼈輸⼊している。⼀⽅で、医師のいないエステサロン等では、このような⽅法で輸⼊を⾏うことはできないことから、エステサロン等で使⽤されている HIFU 機器は、医療機器ではない製品(雑品)とすることで輸⼊されていると推定される。等
  • 生体への影響
    • シミュレーション解析の結果から、HIFU 施術では、適切な出⼒や照射⽅法で施術しない場合に、⽣体への熱影響が⼤きくなる可能性が確認された。
    • 施術が適切に⾏われなければ、SMAS 筋膜の周囲にも熱影響を及ぼし神経障害を起こすリスクがある。
    • ⽣体への熱影響を抑えながら有効性が期待できるようにするには、機器の設定出⼒や照射⽅法を狭い範囲で適切に⾏わなければならない難しい施術である。等

事故原因とその背景

事故の原因

エステサロンにて、美容クリニックで使用される機器と変わらないような照射出力が高く、安全上信頼性の低い機器を使い、施術に必要な解剖学や適切な照射方法の知識が不十分な人が行ったことが原因だと認められました。

背景

  • HIFU 施術及び機器に関する法規制が及んでいないこと
  • 施術の技術的困難さが施術者に知られていないこと
  • 照射出⼒の⾼い機器が使⽤されていること
  • 信頼性の低い機器が使⽤されていること
  • 施術者の施術に関する知識の⽋如
  • 注意喚起が⾏き渡らない業界の実態
    • エステティック業界の主要団体では HIFU 施術を禁⽌しているが、団体未加盟の店舗が多く、それらの店舗には影響⼒がない。このため、周知や注意喚起を業界全体に⾏き渡らせることができない実態が推定される。
  • 利⽤者がリスクを知らないこと
    • 利⽤者へのアンケート調査からは、利⽤者の約6割が HIFU 施術のリスクを認識していない実態が認められた。

私たちが利用者として注意すべきことはこれ!

事故背景の中で、利用者の約6割が施術リスクを認識していないことがわかりました。

HIFU施術を含め、美容医療を受ける際には医師の説明をしっかりと受けることは当然ですが、利用者自身でも施術の内容・リスクをきちんと認識することが大切です。

消費者庁・厚労省から提供されているチェックリスト等も活用していきましょう。

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000900184.pdf

万が一、事故が発生した際の相談先

万が一、事故が発生してしまった場合には、以下の相談窓口に連絡しましょう。

医療安全支援センター

消費者庁「消費者ホットライン」118

出典:消費者庁ホームページ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/damage

医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について 厚生労働省(2024年6月7 日)
以下、消費者庁より
消費者安全法第 23 条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書【概要】−エステサロン等での HIFU(ハイフ)による事故−
消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書 エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故
エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故

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