東京都健康長寿医療センターは5月14日、「「同居家族がいるから安心」とは限らない 家庭内孤立と精神的健康の関連を解明」とする研究結果を発表しました。
〇研究のポイント
- 「同居家族や同居者がいるにもかかわらず、家庭内で会話や交流が著しく乏しい状態」を家庭内孤立と定義し、地域在住の40歳以上を対象に実態と精神的健康との関連を検討しました。
- 家庭内孤立に該当する人は、対象者全体の4.7%、同居者がいる人に限定すると5.8%でした。割合は年代が高いほど高く、概ね女性より男性で高い傾向がみられました。
- 家庭内孤立している人は、主観的健康感、うつ状態、ウェルビーイング、孤独感のいずれも不良であり、独居者と比べても精神的健康が不良な傾向がみられました。
- 一方、近所付き合いや同居家族以外との交流が多い場合、家庭内孤立と孤独感との関連は弱まる傾向があり、家庭外のつながりが支えとなる可能性が示されました。

〇研究の意義(抜粋)
家庭内孤立の存在は、日常生活の中で経験的に語られることはありましたが、その実態や健康との関連についてはこれまでほとんど明らかにされていませんでした。本研究は、家庭内孤立という概念を学術的に提唱し、「同居している家族がいるから大丈夫」とは限らないことを、地域住民データに基づいて実証した点に意義があります。従来の孤立対策では、独居者や家庭外の交流が少ない人に注目が集まりやすく、家族と同居している人は支援の対象として見落とされる可能性がありました。
しかし本研究の結果から、同居家族や同居者がいても、家庭内での会話や交流が乏しい場合には、精神的健康が不良である可能性が示されました。家庭内孤立は外から見えにくく、支援者や地域の人が気づきにくい孤立の形です。そのため、地域包括支援センター、自治体、医療・介護・福祉の専門職などが、同居の有無だけでなく、家庭内でどのような交流があるのかにも目を向けることが重要です。また、近隣との交流や地域活動など、家庭外で安心してつながれる場を持つことも、家庭内孤立に伴う精神的不健康を和らげる可能性があります。

