政府は9月13日の閣議で、「高齢社会対策大綱」を決定した。
第1 目的及び基本的考え方
目的(抜粋)
「高齢社会対策」とは、増加する高齢者を支えるための取組だけでなく、今後、高齢者の割合がこれまで以上に大きくなっていく社会を前提として、全ての世代の人々にとって持続可能な社会を築いていくための取組となっています。
基本的考え方(抜粋)
我が国の高齢化率(総人口に占める 65 歳以上人口の割合)は年々上昇し、2023 年(令和5年)時点では 29.1%となっている。2025 年には「団塊の世代」が 75 歳以上となり、また 2030 年代後半には 85 歳以上人口が初めて 1,000 万人を超え、2040 年には「団塊ジュニア世代」が65 歳以上となる。65 歳以上人口は 2040 年代前半でピークを迎えると推計されている。それ以降、65 歳以上人口は減少に転じるものの、少子化の影響等により高齢化率は引き続き上昇を続け、2070 年には 38.7%に達すると見込まれている
高齢化率の上昇に伴い、生産年齢人口は 2040 年までに約 1,200 万人減少することが見込まれており、労働力不足や経済規模の縮小等の影響が懸念されるとともに、地域社会の担い手の不足や高齢化も懸念される。
65 歳以上の就業者数は 20 年連続で前年を上回って過去最高となり、就業意欲の高まりもみられている。高齢者の体力的な若返り等を踏まえ、年齢に関わらず、それぞれの意欲や能力に応じて、経済社会における様々な活動に参画する多様な機会を確保し、その能力を十分に発揮できる環境を創っていく重要性がますます高まっている。
(1)年齢に関わりなく希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築
(2)一人暮らしの高齢者の増加等の環境変化に適切に対応し、多世代が共に安心して暮らせる社会の構築
(3)加齢に伴う身体機能・認知機能の変化に対応したきめ細かな施策展開・社会システムの構築
第2 分野別の基本的施策(抜粋)
1 就業・所得
- 年齢に関わりなく希望に応じて働くことができる環境の整備
- 公的年金制度の安定的運営
- 高齢期に向けた資産形成等の支援
2 健康・福祉
- 健康づくりの総合的推進
- 持続可能な介護保険制度と介護サービスの充実
- 持続可能な高齢者医療制度の運営
- 認知症施策の総合的かつ計画的な推進
- がん対策の推進
- 人生の最終段階における医療・ケアの体制整備
- 身寄りのない高齢者への支援
- 支援を必要とする高齢者等を地域で支える仕組みづくりの促進
- 加齢による難聴等への対応
3 学習・社会参加
- 加齢に関する理解の促進
- 高齢期の生活に資する学びの推進
- 地域における社会参加活動の促進
4 生活環境
- 豊かで安定した住生活の確保
- 高齢社会に適したまちづくりの総合的推進
- 金融経済活動における支援
- 消費者被害の防止
- 認知機能の変化に応じた交通安全対策
- 情報アクセシビリティの確保
- 公共交通機関や建築物等のバリアフリー化
- 高齢期の特性に配慮した防災・防犯対策
- 成年後見制度の利用促進
〇医療関連(持続可能な高齢者医療制度の運営)
後期高齢者の窓口3割負担(「現役並み所得」)の判断基準の見直し等については、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」において、年齢に関わりなく、能力に応じて支え合うという観点から、2028 年度までに実施について検討する。
※新たな「高齢社会対策大綱」の案に関する意⾒募集の結果について
高齢社会対策基本法(平成7年法律第129号)第6条に基づく、新たな「高齢社会対策大綱」の案について、広く国民の皆様から御意見を募集するため、意見募集を実施している。