東京都健康長寿医療センター研究所は、東京都内のシルバー人材センタ ーに登録している高齢者において、フレイルに該当していると就業中に事故を起こす可能性が統計的に高い一方で、安全就労に関する研修会に参加したり、安全就労に関するチラシを見たりする機会が少ないという実態を明らかにした。事故の中身について調べてみると、フレイルに該当する高齢就業者は転倒関連事故(転倒、転落、墜落)が多い傾向にあることが分かった。
研究の背景
高齢就労者数が増加の一途をたどっている中で、就業中の事故が課題となっている。そこで、安全就業のための研修を実施したり、啓発用のチラシを作成したりと、事故を減らすための取り組みがなされている。 しかし、就業中に事故を起こしやすい人の特徴や安全就労について学ぶ機会の活用に関する実態については、 明らかになっていなかった。
研究の意義
本研究から、フレイル度が高まるにつれて就労中の事故が多くなるものの、そのような事故を起こしやすい層ほど安全就業について学ぶ機会を活用できていないという実態が明らかとなった。一方で、転倒や転落の可能性が低い就業内容であれば、フレイルの人であっても比較的事故を起こしにくいことも示唆された。フレイル度に応じた就業内容の選択や、フレイル度が高い人への安全就業に関する積極的な働きが、高齢者の安全就業を考える際には必要となると考えられる。