厚生労働省のエイズ動向委員会は3月、令和5年HIV感染者・AIDS患者の年間新規報告数(速報値)を公表しました。
目次
令和6年度「HIV検査普及週間」
「エイズ予防指針」に基づき、HIV検査普及週間は、エイズ予防指針の趣旨を踏まえ、国や都道府県等が、利便性の高い場所や時間帯に配慮した検査を実施するなど、利用の機会を拡大するとともに、広く国民に対して、検査・相談体制に係る情報提供を含む普及啓発を行い、HIV検査の浸透・普及を図る機会とするもの。
期間:令和6年6月1日(土)から同月7日(金)まで
令和5年HIV感染者・AIDS患者の年間新規報告数(速報値)
【概要】
- 今回の報告期間は、令和5 年1 月1 日~12 月31 日の1 年間
- 新規HIV感染者報告数は、669 件
- 新規AIDS患者報告数は、291 件
- HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は960 件(過去20 年間で、19 番目に多い報告数)
【感染経路・年齢等の動向】
- 新規HIV感染者:
- 同性間性的接触によるものが476 件(全HIV感染者報告数の約71%)
- 異性間性的接触によるものが89 件(全HIV感染者報告数の約13%)
- 静注薬物によるものは2 件
- 母子感染によるものは0 件
- 年齢別では、20~40 歳代が多い。
- 新規AIDS患者:
- 同性間性的接触によるものが157 件(全AIDS患者報告数の約54%)
- 異性間性的接触によるものが44 件(全AIDS患者報告数の約15%)
- 静注薬物によるものは0 件
- 母子感染によるものは0 件
- 年齢別では、30~50 歳代が多い。
《まとめ》抜粋
- 令和5 年の新規HIV感染者報告数については、令和4 年より増加しており6 年連続での減少から、増加に転じた。要因としては、新型コロナウイルス感染症の流行以降減少していた保健所等での検査件数が回復したことが影響している可能性がある点に留意し、今後の状況を注視していく必要がある。
- 令和5 年の新規AIDS患者報告数の増加は、新型コロナウイルス感染症の流行以降、保健所等での検査件数が減少していたことが影響している可能性が否定できない点に留意し、今後の状況を注視していく必要がある。
- 新規HIV感染者の感染経路は、性的接触によるものが約84%(うち約84%が同性間)、新規AIDS患者では約69%(うち約78%が同性間)となっている。また、新規HIV感染者・新規AIDS患者ともに、男性が全体の9 割を超えている
- 献血時のHIV抗体・核酸増幅検査における10 万件当たりの陽性件数は令和4 年と比べて減少した。しかし、依然として陽性件数があることを踏まえると、HIV感染リスクがある方は、保健所等での無料・匿名検査や医療機関による検査を受けていただきたい。