冬の寒さが本格化してくる時期、毎日の生活で特に注意が必要なのは、入浴時の事故です。政府広報オンラインでも注意が促されているように、具体的に何に気をつけるべきなのか知ることで、自分・家族の事故を防ぎましょう。
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高齢者の「不慮の溺死及び溺水」事故と「ヒートショック」
令和5年の「不慮の溺死及び溺水」事故で亡くなった65歳以上の高齢者は8,270人です。そのうち、浴槽での事故で亡くなったのは6,541人(うち、家や居住施設の浴槽での死亡者数は6,073人)で、「不慮の溺死及び溺水」事故で亡くなった高齢者のうち、約8割が入浴中に亡くなっています。
冬場に溺れる事故が増える原因としては、温かい室内と寒い脱衣所や浴室との寒暖差などによる急激な血圧の変動や、熱い湯に長くつかることによる体温上昇での意識障害が挙げられます。
特に65歳以上の高齢者は、血圧を正常に保つ機能が衰えてきているため、特に注意が必要です。
ヒートショック:血圧の乱高下によって、めまい・立ちくらみ・動悸・吐き気・頭痛などの症状が起こること

入浴時の事故を防ぐためにできること
以下の対策を日頃から意識することで入浴時の事故を防ぐことにつながります。
- 入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく
- 湯温は41度以下、お湯につかる時間は10分までを目安にする
- 浴槽から急に立ち上がらない
- 食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避ける
- お風呂に入る前に、同居する家族にひと声かける
- 家族は入浴中の高齢者の動向に注意する
入浴時の事故に遭遇した場合の対処
万が一、入浴時の事故に遭遇した場合は以下の対処を行いましょう。
- 浴槽の栓を抜く。大声で助けを呼び、人を集める。
- 入浴者を浴槽から出せるようであれば救出する。出せないときは、ふたに上半身を乗せるなどして沈まないようにする。
- 直ちに救急車を要請する。
- 浴槽から出せた場合は、両肩をたたきながら声を掛け、反応があるか確認する。反応がない場合は呼吸を確認する。
- 呼吸がない場合には胸骨圧迫を開始し、救急車の到着まで続ける。人工呼吸ができるようであれば、胸骨圧迫30回、人工呼吸2回を繰り返す。
応急処置の詳細はこちらの記事も参考にしてください。
応急手当の知識と技術。いざというときに備えて身につけておきましょう 政府広報オンライン(2025年7月17日)

