東京都健康長寿医療センター研究所は、「高齢期にむけた健康の維持にとって最適な食事のタンパク質比率は、25~35%である」ことを明らかにした。
この研究成果は、食事のタンパク質バランスによる健康維持や健康長寿に大きく貢献するものと期待される。
研究成果(抜粋)
研究目的(抜粋)
昔から長生きの秘訣のひとつに、バランスの良い食事があげられている。農林水産省の令和3年度食料需給表(概算)によると、日本における1人/1日あたり供給熱量は2271 kcal、熱量比率の内訳はタンパク質が13.8%、脂質が32.5%、炭水化物が53.7%となっている。では、健康長寿に最適な食事の三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)バランスは、いくつなのか?最近、マウスに成長期から一生涯にわたり低タンパク質・低脂質・高炭水化物の食餌を与えて飼育すると、寿命が延びることがわかってきた。一方、高齢者においては低栄養によるサルコペニアやフレイルの高リスクが問題となっており、その予防あるいは改善するためにも、充分な量のタンパク質を摂取することが推奨されている。健康長寿に最適な三大栄養素バランスは、成長期、若齢期、中齢期、高齢期といった各ライフステージで異なると考えられる。
本研究では、日本における高齢期にむけた健康維持や健康長寿に理想的なタンパク質比率を明らかにすることを目的に行った。
研究の概要と意義(抜粋)
本研究では、若齢(6 月齢)と中齢(16 月齢)の雄マウスにタンパク質比率の異なる食餌を与えて 2 ヶ月間飼育し、タンパク質比率や月齢が異なると健康にどのような影響があるかを詳しく調べ、若齢、中齢ともにタンパク質比率が25~35%が最も健康的であることが明らかになった。この研究成果は、食事の三大栄養素バランスによる健康維持や健康長寿に大きく貢献するものと期待される。
今回はマウスの実験結果であり人に当てはめるのは早計だが、現在の日本におけるタンパク質の摂取比率は13.8%なので、食事のタンパク質比率を25~35%に高めることは、高齢期にむけた健康維持に役立つ可能性が示唆される。今後は、サルコペニアやフレイル、認知症の予防や改善を目指して、健康長寿に最適な各ライフステージにおける三大栄養素バランスを検討する予定としている。