厚生労働省は、2024年2月、睡眠・休養分野の取組をさらに推進するため、健康づくりに寄与する睡眠の特徴をわかりやすく伝え、より多くの国民が良い睡眠を習慣的に維持するために必要な生活習慣を身につける手立てとなることを目指し、最新の科学的知見に基づき「睡眠指針2014」を見直し、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定した。
健康づくりにおける睡眠の意義(抜粋)
睡眠は、こども、成人、高齢者のいずれの年代においても健康増進・維持に不可欠な休養活動となる。睡眠不足は、日中の眠気や疲労に加え、頭痛等の心身愁訴の増加、情動不安定、注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下、学業成績の低下等、多岐にわたる影響を及ぼし、事故等の重大な結果を招く場合もある。また、睡眠不足を含め、様々な睡眠の問題が慢性化すると、肥満、高血圧、2型糖尿病、心疾患や脳血管障害の発症リスクの上昇や症状の悪化に関連し、死亡率の上昇にも関与することが明らかとなっている。また、うつ病などの精神疾患においても、発症初期から睡眠の問題が出現し、再燃・再発リスクを高めることが知られているとともに、睡眠の問題自体が精神障害の発症リスクを高めるという報告もある。そのため、日常的に質(睡眠休養感)・量(睡眠時間)ともに十分な睡眠を確保することにより、心身の健康を保持し、生活の質を高めていくことは極めて重要となる。
「健康日本 21(第三次)」における休養・睡眠分野の目標
令和6年度から開始する国民健康づくり運動「21 世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本 21(第三次))」においては、休養・睡眠分野に関連する目標として、「睡眠で休養がとれている者の増加」及び「睡眠時間が十分に確保できている者の増加」を設定し、それぞれについて、目標値を定め、取組を進めていくこととしている。
推奨事項
本ガイドでは、ライフステージごと(成人、こども、高齢者)に睡眠に関する推奨事項をまとめるとともに、質・量ともに十分な睡眠を確保するに当たっての参考情報をテーマごとにまとめている。