要介護認定のしくみと申請手順の解説

目次

要介護認定に係る制度の概要(要約)

  1. 要介護認定とは
    • 介護保険制度では、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護サービスを受けることができます。
    • この要介護状態や要支援状態にあるかどうか、その中でどの程度かの判定を行うのが要介護認定です。要介護認定は、保険者である市町村に設置される介護認定審査会において判定されます。
    • 要介護認定は介護サービスの給付額に結びつくことから、基準については全国一律に客観的に定めます。
  2. 要介護認定の流れ
STEP

市町村の認定調査員(指定居宅介護支援事業者等に委託可能)による心身の状況調査(認定調査)及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定(一次判定)を行う。

STEP

保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会により、一次判定結果・主治医意見書等に基づき審査判定(二次判定)を行う。

出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000126240.pdf

要介護認定はどのように行われるか(要約)

介護の手間に係る審査判定

  1. 要介護認定は、介護サービスの必要度を判断するものです。従って、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。
  2. 介護サービスの必要度の判定は、客観的で公平な判定を行うため、コンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定で行います。
  3. コンピュータによる一次判定は、その方の認定調査の結果を基に、約3,500人に対し行った「1分間タイムスタディ・データ」から推計します。
  4. ①一次判定のコンピュータシステムは、認定調査の項目等ごとに選択肢を設け、調査結果に従い、それぞれの高齢者を分類してゆき、「1分間タイムスタディ・データ」の中からその心身の状況が最も近い高齢者のデータを探しだして、そのデータから要介護認定等基準時間を推計するシステムです。この方法は樹形モデルと呼ばれるものです。
    ②推計は、5分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)について、要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計を基に要支援1~要介護5に判定されます。
要支援1要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援2
要介護1
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護2要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護3要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護4要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態
引用:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html

状態の維持・改善可能性に係る審査判定

  1. 予防給付対象者選定の考え方
    • 予防給付対象者の選定は、要介護認定の枠組みの中で、介護の手間に係る審査に加え、高齢者の「状態の維持・改善可能性」の観点を踏まえた明確な基準に基づく審査・判定を通じて行う
  2. 予防給付対象者選定手法
    • 予防給付の対象は、「要支援1」の者すべてに加え、「要介護認定基準時間が32分以上50分未満に相当する者」に該当する者のうち、心身の状態が安定していない者や認知症等により予防給付等の利用に係る適切な理解が困難な者を除いた者とする

予防給付等の適切な利用が見込まれない状態像は、以下のように考えられる。

  1. 疾病や外傷等により、心身の状態が安定せず、短期間で要介護状態等の再評価が必要な状態
    • 脳卒中や心疾患、外傷等の急性期や慢性疾患の急性増悪期で不安定な状態にあり、医療系サービス等の利用を優先すべきもの
    • 末期の悪性腫瘍や進行性疾患(神経難病等)により、急速に状態の不可逆的な悪化が見込まれるもの等
      これらの状態の判断は、運動器の機能向上のためのサービス等、個別サービスの利用の適格性に着目して行うのではなく、要介護状態が変動し易いため予防給付等そのものの利用が困難な事例が該当すると考えられる。
  2. 認知機能や思考・感情等の障害により、十分な説明を行ってもなお、予防給付等の利用に係る適切な理解が困難である状態
    • 「認知症高齢者の日常生活自立度」が概ねII以上の者であって、一定の介護が必要な程度の認知症があるもの。
    • その他の精神神経疾患の症状の程度や病態により、予防給付等の利用に係る適切な理解が困難であると認められるもの

要介護認定に係る法令(抜粋)

  1. 介護保険制度における被保険者の定義
    1. 市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者
    2. 市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者
  2. 要介護状態、要介護者の定義
    「要介護状態」
    身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める原則6ヵ月にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの。
    「要介護者」
    (1)要介護状態にある65歳以上の者
    (2)要介護状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(特定疾病)によって生じたもの
  3. 要支援状態、要支援者の定義
    「要支援状態」
    身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について、厚生労働省令で定める原則6ヵ月にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める原則6ヵ月にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要支援状態区分)のいずれかに該当するものをいう。
    「要支援者」
    (1) 要支援状態にある65歳以上の者
    (2) 要支援状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が特定疾病によって生じたもの
  4. 要介護(要支援)認定について
    • 介護(予防)給付を受けようとする被保険者は要介護(要支援)者に該当すること及びその該当する要介護(要支援)状態区分について市町村の認定を受けなければならない
    • 介護認定審査会は、審査及び判定を求められたときは、厚生労働大臣が定める基準に従い、当該審査及び判定に係る被保険者について、審査及び判定を行い、その結果を市町村に通知する
    • 市町村は通知された認定審査会の審査及び判定の結果に基づき、要介護(要支援)認定をしたときは、その結果を当該被保険者に通知しなければならない
  5. 認定調査等の位置づけ
    「認定調査」について
    市町村は、被保険者から要介護認定等の申請があったときは、職員を当該申請に係る被保険者に面接させ、その心身の状況、その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について調査させる。
    「主治医意見書」について
    市町村は、被保険者から要介護認定の申請があったときは、主治医に対して、身体上又は精神上の障害の原因である疾病又は負傷の状況等について、意見を求める
  6. 介護認定審査会について
    • 審査判定業務を行わせるため、市町村に介護認定審査会を置く
    • 認定審査会は、委員のうちから会長が指名する者をもって構成する合議体で、審査及び判定の案件を取り扱う
    • 合議体の委員の定数は、5人を標準として市町村が定める
  7. 一次判定、二次判定の位置づけ
    • 介護認定審査会は、基本調査の調査結果及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定の結果(一次判定)を原案として、特記事項及び主治医意見書の内容を加味した上で決定(二次判定)を行う。

参考資料:厚生労働省より
要介護認定に係る制度の概要
要介護認定の仕組みと手順
要介護認定はどのように行われるか
要介護認定に係る法令

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