厚生労働省は、「緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る環境整備のための調査事業」の結果を公表しました。
※この資料は、公益社団法人日本薬剤師会(受託業者)が作成したものです
目次
背景・目的(抜粋)
- 現在、緊急避妊薬は「処方箋医薬品」で、原則として、医師の処方を受けた上で、薬局等で調剤される必要があります。第5次男女共同参画基本計画にて「処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討する」ことが定められたこと受け、緊急避妊薬を「要指導・一般用医薬品」とする際の課題や対応策について検討を行ってきました。
- 一定の条件を満たす薬局を指定した上で試験的に緊急避妊薬の薬局販売を行い、要指導・一般用医薬品へ転用した際に緊急避妊薬の適正販売が確保できるか等を調査しています。
調査事業の内容(抜粋)
- 都道府県薬剤師会の協力の下、全国145の薬局で試験販売を実施した
- 協力薬局は以下の条件を満たすものを選定している
a. オンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤の研修を終了した薬剤師が販売可能
b. 夜間及び土日祝日の対応が可能
c. プライバシー確保が可能な販売施設(個室等)を有する
d. 近隣の産婦人科医等との連携体制を構築可能 - 購入者は、HP案内等で事前に内容を理解した上で本研究へ参加している
- 協力薬局、購入者及び比較対象として医師の処方を受けた者へ緊急避妊薬の適正販売に係るアンケート調査を実施
結果(抜粋)
- 2023年11月28日~2024年1月31日の販売実数は「2,181」となった。都道府県によりばらつきがあるが、東京・神奈川では200超を販売している。
- 協力薬局への来局時期及び曜日について大きなばらつきは見られないが、来局時間に関しては、概ね9時から19時に集中しており、夜間・早朝(21時から8時まで)の来局は全体の2%程度だった。
- 購入者への満足度調査では「薬剤師の対応」「説明のわかりやすさ」「プライバシーへの配慮」への満足度は高い一方で、「支払った費用」の満足度は低い傾向にあった(7~9千円の範囲内で各薬局で設定)。ただし、この傾向は医師の処方を受けた者でも同様に見られた。また、購入者ほぼ全員が、薬剤師からの説明を「よく理解できた」と回答したが、連携産婦人科医の事後アンケートにおいては「薬剤師の説明を理解していない」との回答が1件含まれていた。
- 購入者への事後アンケート(購入後3~5週間に回答)での「今後、緊急避妊薬の服用が必要になったらどうしたいか」との設問には、約8割の者が「医師の診察を受けずに、薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」と回答している。
- 協力薬局に対する「販売可否に係るチェックリスト」への満足度調査では約9割が「容易に可否判断ができた」と回答した一方で、「妊娠の可能性」の判断に関する項目を改善すべきと約半数が回答している。
- 協力薬局で発生した事象として「薬局の事情で公表した営業時間内に販売できないことがあった」との回答が一定程度報告された(40薬局)が、その半数以上が「研修を受けた薬剤師の不在」を理由に挙げていた。