東京都健康長寿医療センターは、『高齢者のいる世帯は「過度な水準の保健医療支出」をより多く経験している』という研究成果を発表した。
人口高齢化が進む中で高齢者の貧困を防ぎ、医療へのアクセスを改善するためのより良い政策立案に資することを目的に、「過度な水準の保健医療支出」の規模、原因、影響と、保健医療サービスに対する未充足のニーズに関する分析を行った。
研究結果(抜粋)
高齢者のいる世帯の方が、それ以外の世帯よりも過度な水準の保健医療支出を経験している傾向にあることが明らかになった。過度な水準の保健医療支出が家計に与える影響も世帯の年齢構成によって異なり、高齢者がいる世帯は、過度な水準の保健医療支出を経験した翌年には、食費や社会活動への支出の減少が顕著で、若年者のみの世帯では、教育への支出が削減される傾向があった。また、若年者のみの世帯では、高額な医療費負担が発生した翌年に収入が減少する一方、高齢者のいる世帯ではそのような影響が見られないことも判明した。これは、雇用ベースの収入に依存している(つまり健康状態が収入減に影響する)若い世帯の方が、経済的影響が大きい可能性があることを示唆している。
一方、未充足のニーズ(保健医療関連の満たされていないニーズ)に関しては、若年者と高齢者において高い傾向がみられた。