東京都健康長寿医療センターは10月、「聴覚情報制限と下肢視覚情報制限が適応歩行に与える影響」を発表した。
聴覚情報が障害物回避行動に果たす役割の解明を目的に実験を行い、聴覚情報が制限された場合(外部音が聞こえにくくなった場合)、障害物に近づく際の歩幅の調整が乱れるのに加え、障害物の跨ぎ越し動作が大きくばらつくようになることを明らかにした。
研究成果の意義
聴覚情報が遮断されることにより、一連の障害物回避動作のばらつきが大きくなることが明らかとなり、その傾向は足元が見えない状況下で顕著に現れることが分かった。聴覚情報には運動を安定させる(動作のばらつきを統制する)働きがあるのかもしれない。このような聴覚情報制限にともなう運動の変化が加齢性難聴者の転倒リスクを高めていると考えると、「耳の聞こえにくさ」に対する早期かつ適切な対応が傷害予防の観点から重要であるといえる。