東京都健康長寿医療センター研究所の研究グループ(フレイル・筋骨格系の健康研究)は、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MSを用いたメタボロミクス分析により、高齢者のフレイルと関連する血清代謝物を特定しました。
本研究で特定された代謝物は、カフェイン、カテコール(カフェインの代謝物の一種)、パラキサンチン(カフェイン代謝物の一種)、ナイアシンアミド(ビタミンB3の一種)、5-ヒドロキシメチル-2-フロイ酸(代謝に関わる化合物)、ダイゼイン(大豆イソフラボンの一種で、植物性化合物)、シトシン(DNAやRNAを構成する塩基の一つ)が含まれています。特に注目すべき点として、これらの代謝物の多くが食事由来であることが挙げられます。
研究結果
約500種類の代謝物を分析した結果、フレイル高齢者では全体的に代謝物濃度が低い傾向が認められ、特に以下の7つの代謝物の濃度が有意に低いことが明らかとなりました。
◎カフェイン、カテコール(カフェインの代謝物の一種)、パラキサンチン(カフェイン代謝物の一種)、ナイアシンアミド(ビタミンB3の一種)、5-ヒドロキシメチル-2-フロイ酸(代謝に関わる化合物)、ダイゼイン(大豆イソフラボンの一種で、植物性化合物)、シトシン(DNAやRNAを構成する塩基の一つ)一方で、カフェイン、カテコール、パラキサンチン、ナイアシンアミドの濃度が高い場合、健康な高齢者である可能性が高いことが確認されました。また、筋力低下、疲労、身体活動低下といったフレイルの各表現型と代謝物の関連性には個別の違いが認められました。さらに興味深い点として、今回の研究で特定された代謝物の多くが食事由来であることが示されました。
◎研究成果の意義
本研究は、フレイルの生物学的基盤を解明し、予防策の構築に貢献することを目指しています。本研究により、カフェイン、カテコール、パラキサンチン、ナイアシンアミドなどの代謝物がフレイルと関連していることが明らかになりました。これらの多くが食事由来であることから、食事や栄養がフレイルの発症や予防に関連している可能性が示唆されています。今後の研究により、より具体的な食生活の指針が明らかになることが期待されます。