便秘と食習慣について

快便は、快食、快眠と並び健康的な生活を支える三原則の一つと言われています。しかし、不規則な食生活やバランスの偏った食事、運動不足やストレスなどの要因、ならびに近年の高齢化の進展に伴い、便秘の有訴者率が増加傾向にあります。2017年10月に発行された「慢性便秘症診療ガイドライン2017」より、便秘・便秘症の定義と診断基準を紹介した後、その予防と治療における食習慣を含めた生活習慣のあり方について解説します。

便秘の定義と診断基準

慢性便秘症診療ガイドライン2017」では、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。また、便秘症とは「便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする状態」であり、便秘症の診断基準は下記のように定められています。

慢性便秘症の診断基準

  1. 「便秘症」の診断基準
    以下の6項目のうち、2項目以上を満たす。
    • 排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある。
    • 排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便(BSFSでタイプ1か2)である。
    • 排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる。
    • 排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある。
    • 排便の4分の1超の頻度で、用手的な排便介助が必要である(摘便・会陰部圧迫など)。
    • 自発的な排便回数が、週に3回未満である。
  2. 「慢性」の診断基準
    • 6ヵ月以上前から症状があり、最近3ヵ月間は上記の基準を満たしていること。

治療の基本は生活習慣の改善

慢性便秘症の治療には、保存的治療と外科的治療が用いられます。ここでは主に、保存的治療のうち、食習慣を含む生活習慣の改善に焦点を当ててお話しします。薬剤治療や外科的治療に関しては、専門医の先生にご相談ください。

便秘症の治療において、生活習慣の改善は基本となります。規則正しい生活を心がけ、生活リズムを整えることで、自律神経が整うため、排便を規則正しく行うことにつながります。また、便意を我慢せず、便意を感じた時にトイレに行くようすることも大切です。排便を我慢することが多いと、便秘症が悪化しやすくなります。また、適度の運動を行うことも大切です。運動を行うことで、腸の動きが促されます。食習慣に関しては、まず、1日3食を規則正しく摂取することをおすすめします。特に朝食の摂取は体内リズムを整え、胃や腸を刺激し、排便反射を促しやすくします。朝食後にトイレに座る習慣をつけると排便習慣が整えられやすくなります。また、水分をしっかりとることで、便がやわらかくなり、排便がしやすくなります。

出典:生活習慣病予防のための健康情報サイト「厚生労働省e-ヘルスネット」より

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