東京都健康長寿医療センター研究所は4月、「肉類摂取が高齢期のフレイル予防の栄養ケアとして有効である可能性」という研究成果を公表した。
発表内容の概要(抜粋)
日本ハム株式会社との共同研究を行い、地域在住高齢者(512名)を対象に食肉の摂取量とさまざまなフレイル関連指標との関わりを横断的に検討した結果、食肉を多く摂取している高齢者は最大歩行速度が速いことを確認した。
研究目的
今後さらなる高齢化が見込まれる日本において、要介護の前段階であるフレイル対策が喫緊の課題となっている。フレイル対策の食事としては、たんぱく質を不足させないことが重要となるが、たんぱく質の主要な摂取源のひとつである肉類は、年齢階級が上がるとともに摂取量が減少しやすい。十分な肉類摂取はフレイル予防に効果的であると考えられているが、これまでに地域在住高齢者における肉類摂取フレイル関連指標についての検討は十分ではなく、本研究では肉類摂取量とフレイル関連因子との関わりを明らかにすることを目的に調査を行った。
研究成果の概要と意義
高齢者(512名)を分析対象として、聞き取りによる基本情報の調査、食事調査、血清アルブミン値の測定、歩行速度、握力、身体組成の測定を行った。食肉の摂取量(エネルギーベース)により3グループに分け、フレイルに関連する指標との検討を行った結果、肉類摂取量の多いグループで最大歩行速度が最も速くなっていた。さらに詳細な分析を行ったところ、性、年齢等を調整しても肉類摂取量の多い方で最大歩行速度が速いことが認められた。
フレイル予防のためにたんぱく質の積極的な摂取が推奨されているが、「どのような食品からたんぱく質を摂るべきか」に着目した研究は不十分であった。今回の研究では、高齢期のフレイル予防の栄養ケアとして肉類が有効である可能性を示すことができた。