サプリメントと薬との相互作用の事例について、ビタミンB6・葉酸・ビタミンC・ビタミンD・ミネラルの事例を解説します。
ビタミンB6
摂取により医薬品の効果が減弱する場合として、抗てんかん薬のフェニトインの生物効力を低下させる(約45%)事例が報告されています。
逆にサプリメントとして摂取が投薬時に良い影響を与える事例として、抗結核薬のイソニアジドで生ずる末梢神経障害を予防することが報告されています。この神経障害はイソジアニドがB6の消費を促進することによって欠乏症を引き起こすことにより惹起することによるもので、これは栄養状態に医薬品が影響を与える例と考えられます。
葉酸
摂取により医薬品の副作用を増強する事例として、抗腫瘍薬のフルオロウラシルやカペシタビンの排泄を遅延させる可能性が報告されています。サプリメントとしての摂取が投薬時に良い影響を与える事例としては、メトトキサレート(抗腫瘍・免疫抑制・抗リウマチ薬)の副作用(下痢・口内炎・白血球減少)を軽減することが報告されています。
また葉酸の栄養代謝に影響する医薬品は意外に多く、フェニトイン・カルバマゼピン・バルプロ酸・フェノバルビタール・プリミドンなどの抗てんかん薬の服用により体内の葉酸量が低下すること、チアジド系・ループ系利尿薬の服用により葉酸排泄が増加し、動脈硬化因子とされる血中ホモシステイン濃度が上昇すること、たんぱく質分解酵素のパンクレアチンやサルファ剤のサラゾスルファピリジン、コレステロール降下薬のコレスチラミンにより葉酸吸収が阻害されることなどが報告されています。
ビタミンC
摂取により医薬品の効力を増強させてしまう事例として、女性ホルモンのエチニルエストラジオールの生物効力を60%程度上昇させてしまうことが報告されています。これは硫酸抱合の競合阻害による薬理学的相互作用によるものです。
また逆の事例としては、極端な多量摂取により、プロトロンビン時間を減少させ、ワルファリンの作用を減弱させることが報告されています。
ビタミンD
抗結核薬のリファンピシリン・イソニアジドにより、小腸でのDの水酸化が阻害され、活性型Dの血中濃度を低下させる可能性が示されています。
ミネラル類
多価陽イオンと薬物との不溶性キレート生成による薬物の吸収阻害事例が多く報告されています。多価陽イオン共通のものとしては、テトラサイクリン系抗菌剤、キノロン系・ニューキノロン系抗菌剤との不溶性キレート形成があります。一般的にはカルシウムイオンやカルシウムを多く含む食品との相互作用として知られていますが、それ以外のミネラルサプリメントとの相互作用も十分注意しなければならないでしょう。カルシウムと同様な注意が必要なミネラルとして、鉄・マグネシウム・亜鉛などが挙げられます。